「介護の仕事はきつい・汚い・危険・給料が低いの4Kって聞いたけど本当?」
「大変なわりに給料が低くて、やってられないって思ってる職員が多いの?」
今回はそんな疑問をお持ちの方に向けて、介護職が4Kと言われる理由や仕事内容の実態などをまとめてみました。
介護の仕事は3K・・・ではなく4K【きつい・汚い・危険・給料が低い】
「介護の仕事は4Kだ」と言う人もいます。
4Kというのは、「きつい」「汚い」「危険」の3つの言葉の頭文字”K”からついた3Kに、「給料が低い」をプラスしたものです。
3Kという言葉は、主に建設業界などの過酷な肉体労働を指していて、人手不足の問題が深刻化して外国人労働者が急増した1990年に登場して流行語となりました。
介護の仕事は過酷な肉体労働が多い3Kの上に給料も低いということで”4K”と言われているというわけですが、本当に4Kなのでしょうか?
介護の仕事が「きつい」と言われる原因と対策
介護の仕事を「きつい」と表現する人も多いと思います。「きつい」という言葉はなんだか漠然としていますが、いろいろな意味が込められているのではないでしょうか。
足腰への負担や夜勤による睡眠障害などの体力的なきつさ
まず最初に挙げられるのは、体力的なきつさでしょう。介護の仕事には、報告書を作成するような事務仕事もありますが、ほとんどは肉体労働です。
利用者を持ち上げたり、重い荷物を運んだりするため、足腰を痛めてしまう人もたくさんいます。とくに事務職から転職した人は、体力がつくまで大変かもしれません。
また、夜勤が不定期に入ると、睡眠のリズムが崩れがちになります。不眠症などの睡眠障害に陥らないよう、しっかり体調管理をする必要があります。
体力的な「きつい」を乗り越えるためには、仕事に慣れることも大切ですが「自分の体を守る意識」を持つことが一番大切だと思います。
体力的なきつさは、自分の体を第一にいたわり、守ることで乗り越えることができるのではないでしょうか。
自分の体を一番に考え、ベストコンディションで仕事に臨むことができれば、自分自身も楽であり、利用者も安心して介護してもらうことができるでしょう。
精神的にきつい場合はコミュニケーション能力を伸ばそう
精神的に「きつい」ということならば、同僚との人間関係が「きつい」と感じているのかもしれません。
介護の仕事は、すべての職種において、一人だけで完結する仕事はありません。「チーム行動が苦手なら訪問介護の仕事をみつけて、一人でさっさと介護をしてくればいい」と言う人もいますが、訪問介護でも一人で作業する仕事ではありません。
訪問介護こそ、明るい性格と社交性、判断力と洞察力が必要です。訪問介護は、利用者の自宅に訪問して介護を行います。
限られた時間の中で必要とされる介護をするためには、会話力が必要なのです。
確かに、人とのコミュニケーションを嫌う人にとっては、介護の仕事は「きつい」でしょう。ただ、人とのコミュニケーションは好きだけど苦手な人は「きつい」とは感じていない可能性もありません。
介護の仕事で求められるコミュニケーション能力は、企業の営業職に求められるコミュニケーション能力とは違います。営業職ならば、自社の製品を売り込むことが目的のため、積極的に言葉を発し、相手の心をつかむコミュニケーションの能力が必要です。
しかし、介護の仕事に求められるコミュニケーション能力は、発するスキルよりも「聞く」「受け入れる」コミュニケーション能力なのです。
介護を必要としている利用者は、孫やたくさんの家族に囲まれてワイワイ生活している人もいれば、独居老人と言われる一人暮らしの人もいます。
独居老人にとっては、介護してくれる職員との会話が唯一のコミュニケーション時間なのです。話したいことが山ほどあっても、聞いてくれる人がいない寂しさは想像できません。
また、家族に囲まれて生活している人は一見幸せな老後を過ごしているように見えますが、話してみると独居老人よりも孤独を感じている人もたくさんいます。
話を聞く中で、利用者が置かれている立場や状況を察知し、必要な介護が何かを感じ取るコミュニケーション能力が介護には大切なのです。
そのため、口下手な人や口数が少ない人が、介護の仕事で「きつい」と感じる機会は意外と少ないのではないでしょうか。
自分の話をじっくりと聞き、うなずいてくれる介護職員は、利用者の中でも評判がいい傾向があります。介護の仕事の人間関係を「きつい」と言う人は、自己主張が強い人なのかもしれません。
介護の仕事は、自分本位に動くのではなく、チームの仲間の立場や利用者の立場になれる人に向いている仕事です。
つまり、介護の仕事が精神的にきついと感じている場合は、コミュニケーション能力を伸ばしたり、介護に対する考え方を変えてみたりすることで乗り越えられるかもしれません。
介護の仕事が「汚い」と言われる原因と対策
介護の仕事は排せつ介助や食事介助、入浴介助などの体に直接触れる仕事が多いため「汚い」と言う人もいます。
とくに排せつ介助は、排泄物を片づけるため「汚い」と感じるかもしれません。ただ、介護の世界や医療の世界では、排泄物をただの排泄物としてみてはいません。排泄物は、体のコンディションをみるための大切な材料なのです。
確かに、家族でない人の排せつ介助を行うことは抵抗があるかもしれません。しかし、介護という仕事で行う排せつ介助は「片付け」という意味と共に、体調管理という大切な意味も含まれているのです。
介護の仕事に携わるときの志が高い人ほど、排せつ介助を苦痛に思わないのかもしれません。なぜならば、排せつに対する考え方が一般の人とは違うからです。
そして、この違いこそがプロフェッショナルとアマチュアの違いなのではないでしょうか。
男性の介護職員の中には「排せつ介助より食事介助の方が苦手」という人もいます。なぜならば、排せつ介助は短時間で終わるけれど、食事介助は数時間に及ぶこともあり、ついイライラしてしまうからだそうです。
xこの介護職員は「イライラする気持ちは自分の責任だから」と認識し、じっくりと食事介助を行うように努力しています。
介護職員といえども、人間であるため苦手なことや慣れないことはあるものです。「仕事」となれば、気持ちを切り替えたり、割り切ったりすることで乗り越えていくことが大切なのではないでしょうか。
介護の仕事が「危険」と言われる原因と対策
利用者の暴力の危険性と対応策
介護の仕事は高所作業をすることも劇薬を扱うこともないため、介護職員が身の危険を感じることはないと思うかもしれません。
しかし、利用者の中には認知症の人も増えています。中には介護職員に対して暴力を振るってきたり、物を投げてくる人もいるのです。
日常生活で暴力を振るわれそうになったら、反撃に出る必要があることもあります。しかし施設では、利用者に対して反撃に出たり、仕返しをすることはできないのです。
とくに介護職員の多くは女性であるため、男性利用者から暴力を振るわれたときにはケガをしてしまう可能性もあります。介護の仕事が「危険」と言われる原因は、利用者の暴力なのかもしれません。
介護の仕事の中で、利用者の暴力から身を守る方法は、利用者の情報を共有しておくことと、仲間との連携ではないでしょうか。
暴力を振るう傾向がある利用者は、介護職員全員が把握しておくことで、複数の介護職員で対応にあたるなどの対処をすることができます。
自分が危険な目にあったら黙っているのではなく、情報を共有し対処策を考えるようにしましょう。利用者の暴力から身を守るためには、情報共有と事前対策が大切です。
感染症の危険性も!
一方、介護の仕事が「危険」と言われる原因が「感染症」であることもあります。
介護の仕事をする女性の多くは、小さな子どもを育てながら働いています。小学校では、毎年のようにインフルエンザが流行したり、ノロウィルスが流行したりします。
若い人なら感染しても体力があるため重症化せずに治癒するかもしれませんが、施設を利用しているような高齢者にとって「感染症」は重症化することも多いのです。
介護職員として一生懸命なあまり、体調不良をおして働いてしまうことが、利用者を危険にさらすこともあります。体調が悪いときは無理をせず、感染症を持ち込まないように注意することも大切です。
介護の仕事が「給料が低い」と言われる原因
介護の仕事は「給料が低い」とも言われています。しかし、これは介護業界すべてに共通して言えることではありません。
給料は、施設や法人、仕事内容や資格によって大きく開きがあります。「給料が低い」と言っている人は、一つの施設に目を向けるのではなく、たくさんの求人情報に目を向けてみるといいでしょう。
ただ、介護の仕事は一般企業のように利益に応じて給料を上げることは難しいのです。なぜならば、介護の仕事は公的な介護施設で行う介護サービスが多いです。
公的な介護サービスは、介護保険がもとになっているため、給料をボンボン上げてしまうと財源である介護保険もボンボン上げなければなりません。
介護保険は、日本が高齢化社会を迎えても高齢者が安心して暮らすことができるように考えられた仕組みです。
介護職員の給料を上げるために、保険料を上げてしまえば、本末転倒になります。
しかし、最近では介護職員処遇改善加算などの賃上げ施策も実施され、介護職の給料は年々アップしています。将来的には、仕事内容に見合った給料になるように改善されていくのではないでしょうか。
介護職が4Kと言われる理由や仕事の実態まとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、介護職が4Kと言われる理由や仕事内容の実態などをまとめてみました。たしかに、介護の仕事は、大変な仕事のわりに給料が低いのかもしれませんが、需要は着実に増えています。
また、介護の仕事は4Kと言われるわりに、介護の仕事を希望する人は増えつつあります。それは、介護の仕事が果たす役割や使命に魅力を感じている人が多いからではないでしょうか。