「移動介助の注意点やコツを知りたい」
「車椅子からベッドへの移乗の手順がよくわからない」
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
介護の仕事を始めたばかりの頃は、移動介助で苦労することも多いと思います。
今回は、移動介助のコツや注意点などを紹介していきますね。
介護職での移動介助のポイントや注意点
介護職における移動介助のポイントは、
- 介護サービスを提供するあなた自身が腰や腕を痛めないこと
- 利用者に苦痛を感じさせないこと
の2点です。
両方とも重要ですが、実は2よりも1の方がより重要です。
介護サービスを提供する側が腰や腕を痛めてしまっては元も子もありません。
介護サービスを受けている側は、あなたが身体を痛めても何もできません。
つまり、心の中ではごめんなさいと思っている方も多くいらっしゃいますが、あなたに対してそれ以上のことは何もできません。
介護職に就いてから慢性的に腰を痛めてしまった、日常生活に支障が出るようになってしまった、という介護職の方は非常に多くいらっしゃいます。
このようになってしまうと、身体的な不利益はあなたが被ることになりますし、あなたが提供する介護サービスの質が落ちてしまうなど、巡り巡って利用者にとって不幸なことになり得てしまうのです。
では、具体的にどのようにするとあなたが腰や腕を痛めずにうまく移動介助ができるのでしょうか。
移動介助は、主にベッドから車椅子へ、車椅子からベッドへ、が多いので、これを前提にして話を進めますね。
(便座などへの移動もありますが、基本的には同じ考え方です)
ベッドから車椅子・車椅子からベッドへの移動介助の・コツ
まず、車椅子をベッドの横に準備したり固定すること、平らなスペースで行うことは最低限行なってください。
その際に重要なことは、利用者の可動部分がある場合は、それを最大限利用すること、かつ、あなたは利用者が転倒しないよう支える(介助する)だけで十分だということです。
あなたが行うことはあくまで介助です。
利用者に可動部分があるにもかかわらず、それを無視してあなたが力いっぱい支えて移動させるのは理想的な介助とは言えません。
例えば、半身不随や立ち上がることができるような利用者の場合は、座った状態で可動する方の腕でベッドや車椅子のひじ掛けをつかんで立ってもらい、利用者に足を軸にして回転してもらうイメージで車椅子に座ってもらいます。
あなたは、
- 利用者が転倒しないよう利用者の正面又は横に寄り添うように身体の距離をあけない立ち位置に立ち
- 利用者のズボンのウエスト部分を上に引っ張る形で、回転を支援して座ってもらう
の2点だけできれば、利用者が転倒することはあり得ませんし、腰や腕などを痛める心配もありません。
一方で、可動する部分が全くない全介助の利用者の場合の手順はこちらのようになります。
- 利用者が座っている正面に立ち、腰を落として利用者と胸を密着させます。
- 利用者の腕を、あなたの背中に回します。
- 利用者の背中側のズボンのウエスト部分を上に引っ張り、胸と利用者のズボンを利用して上に上げるようなイメージ、で移動介助を行います。
ポイントは、利用者と胸を密着させ上に上げるようなイメージです。
密着することにより、より少ない力で移動介助を行うことができ、あなたが腕や腰を痛めてしまうことはなくなります。
言うまでもないかもしれませんが、車椅子とベッドは近くに設置しましょう。
移動介助で重い人はどのようにすればいい?
利用者の身体が重い場合も、基本的には上記のように場合分けをして介助します。
とにかく利用者と身体を密着させて移動するようイメージすることにより、あなたが小柄な女性でも、ある程度大柄で体重のある利用者をうまく移動介助でき、あなたの身体的負担はかなり減らすことができます。
それでも利用者の体格が非常に大柄で体重も重くて1人では移動介助が不可能という場合もあり得ます。
その場合は、あなたは無理をしてはいけません。
移動介助において一番怖いのは利用者とあなたの転倒です。
あなたが特養など施設で働いている場合は、同僚を呼んで2人以上で対応するようにしましょう。
私が働いていた施設でも、全介助対象でそういった利用者がいらっしゃいましたが、毎回2人で移動介助をしていました。
恥ずかしいことでも同僚に遠慮することでもありません。
むしろ転倒により怪我をさせたり入院させたりするリスクを減らすよう、そのようなルールになっていることが一般的です。
在宅介助で1人で移動介助をしなくてはいけない場合は、ケアマネージャーに相談しましょう。
移動介助の注意点・車椅子からベッドへの移乗のコツまとめ
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、移動介助のコツや注意点などをご紹介しました。
移動介助では、つい無理をしてしまいがちですが、転倒などの事故を避けるためにも、無理をしないことが一番大切だということをぜひ覚えていただければと思います。