「認知症の利用者がなぜあんな行動をするのかわからない」「怒りや拒否の裏にある気持ちを理解したい」——この記事では、認知症の方の心理・行動の意味・当事者の視点から見た世界を解説します。介護職として関わる際の心構えにもつながる内容です。
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目次
認知症の方の「困った行動」には理由がある
認知症の方の行動・言動を「問題行動」と捉えるのではなく、その行動には必ず理由があるという視点が介護の基本です。記憶や認知機能が低下しても、感情は残ります。むしろ感情はより敏感になることがあります。
認知症の方がよくとる行動とその背景にある気持ち
| 行動・言動 | 表面上の見え方 | 背景にある気持ち・理由 |
|---|---|---|
| 「家に帰りたい」と繰り返す | 同じことを何度も言っている | 「安心できる場所に帰りたい」「不安・孤独を感じている」。「家」は物理的な場所ではなく、安心・安全の象徴 |
| 入浴を拒否する | わがまま・清潔にしてあげたいのに | 「裸にされる恐怖」「冷たい・熱い感覚への不安」「見知らぬ人(スタッフ)に体を触られることへの抵抗」 |
| 暴言・暴力 | 突然怒り出した | 「うまく伝えられない焦り・フラストレーション」「体の不快感(痛み・かゆみ)が言葉で伝えられない」「無視・軽視されたという感情」 |
| 徘徊・歩き回る | 危ないから止めなければ | 「何か目的がある(仕事に行く・家族を探すなど)」「不安・焦りを体を動かすことで発散している」 |
| 物を盗られたと言う(物盗られ妄想) | そんなことは絶対にない | 「大切なものが見つからない不安」「記憶がないことへの恐怖が他者への疑いとして出る」 |
| 同じことを何度も聞く | さっきも答えたのに | 「記憶が残らないために毎回が初めての体験」「繰り返すことで安心しようとしている」 |
認知症ケアの基本姿勢:3つの「しない」
- 否定しない:「そんなことはありません」と言うのではなく、まずその方の気持ちを受け止める。「そうなんですね、大変でしたね」と共感する
- 急かさない:認知症の方は処理速度が落ちています。急かすと混乱・不安が増します。ゆっくり待つことがケアの基本
- 説得しようとしない:「違います」「それは間違いです」と論理的に説明しても通じません。まず感情に寄り添ってから、別の形で対応する
パーソン・センタード・ケアの考え方
認知症ケアの世界標準的な考え方のひとつがパーソン・センタード・ケア(人を中心に置いたケア)です。認知症があっても、その人はその人固有の人生・価値観・好み・歴史を持っています。
- その人の人生歴(職歴・趣味・家族)を知る
- 「認知症の人」としてではなく「○○さん」として個人を尊重する
- 行動の意味を「病気の症状」ではなく「その人なりのコミュニケーション」として理解する
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まとめ
- 認知症の方の「困った行動」には必ず背景にある気持ち・理由がある
- 「家に帰りたい」「拒否」「暴言」——それぞれの行動の意味を理解することがケアの質を上げる
- 基本姿勢は「否定しない・急かさない・説得しようとしない」
- パーソン・センタード・ケアの考え方で「その人」を中心に置いたケアを実践する

